『ゴールデンカムイ』は、野田サトルによって描かれた日本のマンガ作品で、2014年から2022年まで『週刊ヤングジャンプ』で連載され、アニメ化映画化もされている。時は明治時代の場所は北海道、金塊を巡る壮絶な冒険、サバイバル、そして歴史や文化が絡み合う物語です。全31巻で完結しておりとっても面白いのでお勧めです。
概要
物語は、日露戦争の帰還兵である「不死身の杉元」こと杉元佐一が主人公。杉元は亡き戦友の妻を救うために金を必要としていましたが、北海道に隠された莫大な金塊の噂を耳にし、それを探し出すことを決意します。
この漫画の最大の特徴の一つはその金塊の場所を知る手がかりが脱獄囚たちの体に彫られた刺青ということ。紙媒体の地図でもなければ、在りかを光って示す指輪でも、一度みたら即座に消えるスパイ仕様でもない。金塊の地図を獲得するには入れ墨の脱獄囚と協力関係になって写しをとる、もしくは、脱獄囚の入れ墨を剥ぎ取るしかない。そして大概は協力なんてしてくれないので常に緊張感のある入れ墨争奪戦、ひいては金塊争奪戦が繰り広げられる。
入れ墨争奪戦の最重要人物である入れ墨彫師の娘アシリパと杉元は出会い、アイヌのルーツを辿りながらともに金塊を巡る激しい争奪戦に身を投じる。北海道の広大な自然とインディーズジョーンズさながらのお宝争奪戦、アイヌ文化を学べる教養がセットで楽しめるお得なストーリー。
登場人物も杉本、アシリパなどはオリジナルキャラクターだが、新選組の土方歳三、網走監獄にも展示されている脱獄王の白鳥由栄など歴史上の人物をモデルとしたキャラクターがたくさんいるのも魅力の一つだ。
インディー・ジョーンズさながらのお宝争奪戦
物語の中心は、「埋蔵金」というロマンあふれる題材。舞台は明治時代末期の北海道や樺太で、主人公の杉元佐一が不死身の男としてアイヌの少女アシリパとともに金塊を追います。このお宝争奪戦には、軍人、脱獄囚、主人公グループがと大きく分けて3つのグループがお互いをけん制、協力、裏切りながら共通のゴールに向かうさまなどはインディー・ジョーンズの冒険活劇を彷彿とさせる。トラップだらけの遺跡の代わりに、北海道の大自然や厳しい環境が障害となり、現地ならではのリアルなサバイバルが展開されます。
アイヌ文化を学べる教養
ゴールデンカムイを読む最大の醍醐味のひとつが、物語を通じてアイヌ文化について学べる点です。作中では、アイヌの伝統的な料理、狩猟、そして言語が詳しく描かれています。たとえば、「チタタプ」という料理の調理過程や、動物を狩る際の儀式的な習慣などが描かれ、それらは単なる知識としてではなく物語に自然に溶け込んでいます。
また、アシリパを通じてアイヌの哲学や自然との共存のあり方が示されることで、読者は彼らの文化に対する敬意を抱くようになります。フィクションでありながら、物語を進めるたびに新しい発見があり、教養としての価値も高い作品です。
歴史上の人物をモデル
もう一つ見逃せないのが、キャラクターに込められた歴史の要素です。物語に登場する多くのキャラクターが、実在した人物をモデルにしている点は、歴史好きにはたまりません。たとえば、土方歳三は新選組の副長として有名ですが、本作では老いてなお武士としての信念を貫く姿が描かれています。また、鶴見中尉のようなキャラクターも、明治期の軍人の狂気を象徴する存在としてリアルな厚みを持っています。
さらに、当時の北海道開拓の歴史や、日露戦争後の社会背景が巧みに取り入れられており、単なる冒険物語を超えた深みを作品に与えています。この「歴史の中で生きるキャラクターたち」が物語に現実味をもたらしているのです。
まとめ
『ゴールデンカムイ』は、冒険、サバイバル、歴史、文化が交錯する作品であり、緻密なストーリーテリングと個性豊かなキャラクターたちが魅力です。金塊を巡る壮大な物語と、アイヌ文化を描いた深い世界観が、多くの読者や視聴者に愛され続けています。
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